損料とは?損料と賃料の違いや損料と賃料の使い分け・見分け方5選を解説

2024年3月8日

建設業界では、損料という言葉が頻繁に使われます。その定義や使い方について、明確に理解することは重要です。損料は単なる経費ではなく、所有機材の負担を意味します。

この記事では、損料の概念、損料と賃料の違い、さらに損料と賃料の使い分けの見分け方について解説します。建設プロジェクトにおける経費計算や効率的な資金管理に役立つ情報を提供しますので、ぜひご覧ください。

損料とは?

損料とは、一般的には物品の貸し借りに伴う費用のことですが、建設業界では建設機械などの所有者が負担する経費を指します。通常は、償却費・維持修理費・管理費などのライフサイクルコストを、時間単位または日単位で計算します。

建設機械などをリースする場合は賃料が発生しますが、自社所有の場合でも、設備投資費用を考慮し、各現場での使用に応じて内部で処理されます。つまり、損料は所有コストの一部であり、

例えば、建設機械を1000万円で購入し、A現場での利用に10万円、B現場での利用に20万円かかった場合、その10万円と20万円が損料として計上されます。
 

損料と賃料の違い

損料と賃料の違いは、建設機械が自社所有かレンタルかにあります。自社所有の場合、償却費や維持費などの消耗費用が損料となります。一方、レンタルやリースした場合は、その使用料が賃料です。建設機械の所有形態によって、支払う費用の性質や計算方法が異なります。
 

損料の費目は3つ

損料の費目は主に3つあります。まず、償却料は建設機械の使用や経年による価値の減少をカバーします。これは損料の中で大きな割合を占める費用です。

次に、建設機械の効用を維持するための整備や修理にかかる維持修理費が挙げられます。建設機械の保有に必要な格納保管や保険などの管理費があります。

これらの費目は、1時間または1日あたりの金額で表示され、主に施工に関する機会の経費算出のために設定されます。
 

損料には2種類がある

損料は2つの種類に区分されます。1つ目は運転損料で、建設機械の運転によって発生する費用です。償却費の半額に維持修理費を加えて算出します。

2つ目は供用損料で、建設機械を所有することに伴う費用を指します。供用損料は、償却費の半額に管理費を加えて算出します。例えば、工事において建設機械を長期間待機させる場合、待機料が発生し、供用損料として計上されます。

損料の3つの費目は、運転損料と供用損料に分類されます。償却費はどちらにも含まれ、維持修理費は運転損料に、管理費は供用損料に含まれます。
 

換算値損料とは?

換算値損料は、運転送料と供用損料を統合したものです。工事ごとに建設機械の稼働状況を考慮して計算するのは手間がかかります。そこで、土木積算では基準となる運転時間を定義し、予め計算済みの統合損料を用意する方法が取られます。

これが換算値損料です。換算値損料は損料表に記載された損料単価を基準にし、2つの損料をまとめることで計算が簡略化されます。
 

【5選】損料と賃料の使い分け・見分け方

損料と賃料の使い分けは、現場によって異なり、工事の規模や企業形態も考慮しなければいけないため、簡単ではありません。一方、公共工事では積算基準で決まるため、使い分けは明確です。

この記事では、損料と賃料の使い分けを見分ける方法について、5つご紹介します。
 

一般的にルールが存在する

損料と賃料の使い分けの見分け方は、積算基準の注意書き欄を見ることが一般的なルールです。機械経費の積算基準では、損料の場合は何も記載されませんが、「賃料とする」の但し書きがある場合は、賃料とします。施工内訳で「○○については賃料とする」という記載があるかどうか、見落とさないように確認しましょう。
 

工法協会の歩掛には注意が必要

工法協会の歩掛は、各協会が独自の判断で作成しているため、注意が必要です。工法協会の資料には、損料と賃料が明確に区別されていない場合もあります。また、同じ工種でも異なる判断であることもありますし、資料に明記されていなくても「賃料」の取り扱いであることもあります。

一般的なルールを適用するのではなく、工法協会の歩掛について確認することが肝要です。不明な点は、各工法協会に問い合わせましょう。
 

移動式クレーンでも注意する

損料と賃料の使い分けに関して特筆すべき例として、移動式クレーンがあります。

移動式クレーンは、一般的に運転士付きでレンタルされる建設機械です。荷重に応じて操作に必要な資格が異なり、例えば5トン以上のものは移動式クレーン運転免許が必要です。

レンタル料金にはオペレーターの労務費や燃料費も含まれています。注意して料金を確認し、適切な使い方を心掛けましょう。
 

積算ソフトを使用しない

移動式クレーンの計算は特殊なため、積算ソフトを使わずに自分で仕訳して入力する必要があります。

損料は機械経費だけを入力しますが、賃料には運転士の労務費や燃料費など特徴的な費用が含まれるため、積算ソフトの自動仕訳を使用すると、二重計上のリスクが高まります。したがってレンタル料金の明細を確認し、手動での入力をおすすめします。

機械経費の計算も、損料と賃料の違いを理解した上で、注意して行う必要があります。

「積算基準」の建設機械賃貸料金を確認する

「積算基準」には移動式クレーンの賃料について詳細が記載されているので、確認しておきましょう。

初めて計上する場合は、一般財団法人経済調査会や一般財団法人建設物価調査会の「積算資料」や「建設物価」を参考にします。これらの資料には建設機械賃貸料金について注意書きが記載されており、自社に適した情報を選択できます。

移動式クレーンの賃料には割増料金が含まれることもあるため、丁寧に作業を進めることが重要です。
 

損料について|まとめ

損料と賃料の使い分けは、建設プロジェクトにおける費用管理において重要な要素です。

正確な計算と適切な区別がなされることで、プロジェクトの効率性が向上し、予算の適切な配分が可能となります。損料と賃料の適切な理解は、建設業界における経営戦略や競争力の向上にも貢献します。

本記事を通して、より効果的なプロジェクト管理を実践していただけますと幸いです。