足場用語の根がらみとは?足場工事における必要性や設置方法・施工基準を解説
2024年3月12日
「根がらみ」について疑問を持つ方もいるでしょう。実は「根がらみ」とは足場用語の一つで、足場設置には欠かせない用語です。
本記事では、根がらみについて足場工事での必要性や設置方法などを詳しく解説します。
厚生労働省のガイドラインに記載されている施行基準についてもまとめているので、参考にしてください。
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根がらみとは?
「根がらみ」とは、住宅の床を支えるための床束(ゆかづか)を固定するために使われる横木を指します。床束が倒れたり、ズレたりしないように組まれた部材になります。床束を貫通させず、側面に釘で固定する理由は、床束の断面欠損などを防ぐ目的があります。
現在では、床下にコンクリートを打つため床下が低くなり、必然的に床束も短くなったことや点検に入れないため、根がらみを設置することはほとんどなくなっています。
足場設置現場では、足場が風や作業の重量負荷などで傾いたり、ズレたり、沈下したりすることを防ぐため、足場への金属パイプによる根がらみ設置が必要です。この根がらみは足場を安定させるだけでなく、手すりとしても使えるため、足場設置には欠かせません。
そもそも根がらみの由来は
「根がらみ」とは本来、和風建築の住宅の床を支えるための床束が動かないように固定するために使われる横木を指します。
柱を束石に載せていた昔の独立基礎の住宅工法では、床下が高かったため床束も長く、根がらみがなければ倒壊などの危険性がありました。そのため、昔の和風建築では必須のものでした。
根がらみ・根がらみ貫
上記の通り「根がらみ」は、柱の根元・床束を固定するために使用します。それぞれを連結する板材ですが、「根がらみ貫(ぬき)」ともいいます。
束が高い際は斜めに取付け、筋交(すじかい)の役目も兼ねることができます。
根がらみの役割
足場設置において、足場を安定化し、強化するための重要な役割を果たすのが「根がらみ」です。主な役割は支柱の横ズレを防ぐことですが、支柱を連結して足場にかかる負荷を軽減するため、足場の安定化に寄与します。
足場に設置する筋交は風の影響を受けやすいため、強風の際には足場倒壊につながる恐れがあります。しかし、筋交いは足場安定化には必須のため、足場の支柱の低い位置に根がらみを設置することで、より高い安定化を図るのです。
根がらみの設置方法
足場設置における根がらみの設置方法は以下の通りです。足場の1段目に根がらみ支柱を使用し設置を行います。
・後踏み側の支柱(外柱)の最下端の緊結部に根がらみ用布材を打ち込みます
・前踏みの支柱(内柱)を順次、外柱につなぎます
根がらみを設置するためには、メジャーや水平器といった工具を使用し、建物との距離をしっかりと確認しながら水平に組み立てます。
根がらみの施行基準・規定
鋼管足場の根がらみの設置について、厚生労働省の労働安全衛生規則(昭和47年労働省令第32号)(令和6年2月1日施行)の第570条で、以下のように定めています。
・事業者は、足場(脚輪を取り付けた移動式足場を除く)の脚部には、足場の滑動又は沈下を防止するため、ベース金具を用い、かつ、敷板、敷角等を用い、根がらみを設ける等の措置を講ずること。
また、厚生労働省から労働災害防止対策として、 根がらみを含めたガイドラインも出されています。
この「足場先行工法に関するガイドライン 」は、軒の高さ 10 メートル未満の住宅等の建築物(現場打設の鉄筋コンクリート構造の建築物を除く)の建設工事に適応されるものです。
・根がらみは、できる限り低い位置に設置すること。
・根がらみをはずした開口部等がある場合には、筋かい等で補強すること。
一般社団法人仮設工業会からも「くさび緊結式足場の組立ておよび使用に関する技術基準」により根がらみの使用基準を定めています。
・桁行方向、梁間方向それぞれに根がらみを設置する。ただし、ねじ管式ジャッキベース型金具を2本以上の釘等により敷板に固定した場合は、桁行方向の根がらみを省略できる。
・根がらみは、できる限り地面から近い位置に設置し、各緊結部付支柱に緊結する。
なお、ビル工事用くさび緊結式足場の組立て及び使用基準では、基準は住宅用と異なるため、注意が必要です。
足場工事のその他の専門用語
足場工事では特殊な専門用語を使うため、混乱することがあるでしょう。以下に、よく使われるものをピックアップして紹介します。
・朝顔(あさがお)
正式名称は防護柵です。落下物による事故を防ぐため、足場から外側にはね出して斜め上方向に取り付けられるものです。朝顔の花のように見えるためこの名称で呼ばれます。
・一類(いちるい)
工事現場で使用するメッシュシートです。資材の落下などを防ぐ目的があり、高い強度を有します。
・親綱(おやづな)
高所作業を行う際に、墜落や転落を防ぐための墜落制止装置をかけるために設置するロープです。耐候性に優れ、擦れにくい材質で作られています。
・仮囲い(かりがこい)
建設現場や資材置き場などの防犯や安全を確保するための一時的な囲いです。侵入防止が主な目的となります。
根がらみ|まとめ
この記事では、根がらみについての詳細と根がらみが足場設置に必須であることを徹底解説しました。根がらみを使用するにあたっては、上記の法律、ガイドライン、使用基準を正しく守ることが安全な工事を遂行することにつながります。
足場を設置する人は、この記事を参考にして、作業員や通行人などに危険がないようにしてくださいね。