職長教育期限はどのくらい?職長再教育の必要性や安全衛生責任者教育との違いを解説
2024年3月19日
職長教育をご存じのでしょうか。「職長教育って何?」「期限があるの?」と思った方が多いと思います職長再教育は役割や必要性を忘れないために定期的に受ける必要があります。
今回は職長教育の期限や必要性、安全衛生責任者教育との違いについて解説します。この記事を最後まで読んで、職長教育期限を守り適切な対応を心がけましょう。
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そもそも職長教育とは?
職長教育とは労働安全衛生法第60条が定める特定の業種の職長に新任する際に、受講が規定されている教育です。職長教育の受講対象となる職種は以下の通りです。
- 建設業
- 一部の製造業
- 電気業
- ガス業
- 自動車整備業
- 機械修理業
事故や災害が発生すると大きな被害につながる業種に職長教育の受講が必要です。製造業ではタバコや繊維・紙加工品の業種は対象外です。
職長教育を受講していない者が業務を行うと、労働基準監督署から是正勧告を受ける可能性があるため注意が必要です。職長教育を受けた者を業務につかせるようにします。
職長とは?
職長とは一般的に職場の長やリーダーのことを指します。現場(建設現場、作業場、工場)において作業員を直接指導する監督です。一般的にはリーダーや班長・作業長・主任と呼ばれます。
職長に求められる業務範囲は広く、安全衛生管理や品質管理・工程管理・環境管理・人間関係管理など多岐に渡りますが、すべての役割をになうわけではありません。職長は事業者が選任するため、事業者ごとに与えられる具体的な業務内容や権限は定めていません。
職長の役割とは?
職長の役割は6つに分かれます。具体的な内容ではありませんが、職長にはこれらの役割を行う義務があります。それぞれの役割について紹介します。
安全衛生管理:現場の作業員が安全に作業を進められるように管理する
品質管理:質の良い物を作るために、作業成果の確認や作業員に対する指導を行う
工程管理:全行程を把握したうえで適切な人員配置を行い、効率よく作業が進むように管理をする
原価管理:作業員の作業管理を行う中で、技術による成果のばらつきや不必要なコストが発生しないように管理を行う
環境管理:現場で発生する有害な副産物や不要物を適正に処理し、周囲の環境に配慮する
人間関係管理:作業員の性格や体調を常に把握して適切な人員配置を行うほか、作業が円滑に進むように管理・調節を行う
職長教育と安全衛生責任者教育の違いとは?
職長教育と安全衛生責任者教育の違いを3つのポイントで違いを解説します。
- 教育科目の違い
- 受講対象者の違い
- 職務の違い
1つ目は教育科目です。職長教育と安全衛生責任者教育の基本的な学習事項は同じです。安全衛生責任者教育には対外的なやり取りが必要なため、職長教育に加えて次の2科目を学びます。
- 安全衛生責任者の職務など:1時間
- 統括安全衛生管理の進め方:1時間
2つ目は受講対象者の違いです。安全衛生責任者教育は労働安全衛生法第59条第3項に基づいて実施されます。労働者の安全衛生水準の向上のために、事業場の診断・指導などを行うスペシャリストを育成するのが目的です。
職長教育では現場職員と連携しながら職場の安全衛生に直接携わる現場監督に必要な知識を学ぶため、現場職員の人が受講します。
3つ目は職務の違いです。安全衛生責任者は安全衛生に関するルールが守られているか調査します。不十分な点があれば職長と連携して改善に導く業務です。職長は現場職員に具体的な安全衛生対策を指導、管理する業務です。対策を計画するのが安全衛生責任者で、計画を実行するのが職長となります。
職長教育の目的
職長教育の目的は現場のリーダーには知識や経験、スキルが求められるため、必要最低限の教育が必要です。
必要なスキルや知識のない職長が任命された場合、安全管理やしんちょく管理、現場作業員との情報共有ができません。その結果、仕事のパフォーマンス低下や人間関係の悪化が起きます。
安全管理ができていない状態なので災害が起きてしまい、企業に大きな影響を与えて離職が増えます。そのため職長が必要最低限の知識やスキルを身につける必要があります。
職長教育期限はどのくらい?
職長教育には期限がなく、更新の義務もありません。労働安全衛生法では、一度職長教育を受ければ期限に関係なく業務につくことができます。ですが、厚生労働省が発行した「安全衛生教育等推進要綱(平成3年1月21日付け基発第39号別添)」では次の2つの条件に該当する職長には再度職長教育を受けるよう求めています。
- おおむね5年毎
- 機械設備などに大きな変更があったとき
法的には再受講の義務はありませんが、建設現場の安全を徹底するためには5年ごとや新しい機械や設備の導入のタイミングで再受講するのが理想です。
職長教育期限到来における再教育の必要性
職長教育期限到来における再教育の必要性ですが、職長は労働災害を防止するために安全の確保や作業の段取りをしたりなど重要な役割があります。
職長教育や職長の能力向上を目的とした再教育は必要性の高い教育といえます。義務ではないので自由ではありますが、労働災害を防止するためにも5年ごとに再教育を受講しましょう。
職長再教育の概要
職長再教育の概要ですが、建設業の職長等の能力向上に準じた教育及び安全衛生責任者の能力向上に準じた教育については、安全衛生教育等推進要綱(平成3年1月21日付け基発第39号)において示されています。
建設業にかかわる事業者は職長などの業務を行っている者に対して、おおむね5年ごと及び機械設備に大幅な変更があった場合に受けます。
また職長等教育修了者で安全衛生責任者教育をまだ修了していない者も職長再教育を受講すると、安全衛生責任者教育も修了となります。(平成13年2月以前の職長教育は、安全衛生責任者教育が含まれていません。)
職長再教育の対象者
職長再教育の対象者は以下の通りです。
- 職長等教育(法第60条による教育)を修了し、職長業務従事後、5年以上経過した者
- 平成13年2月以前に職長教育を修了した者で、安全衛生責任者教育を修了していない者
どちらかを満たしていれば対象となります。
職長再教育の講習内容
職長再教育の講習内容は以下の通りです。
講習名「職長及び安全衛生責任者準能力向上教育(再教育)(リスクセスメント含む)
区分 | 講習科目 | 時間 |
学科 | 職長等として行うべき労働災害防止に関すること | 90分 |
労働者に関する指導または監督の方法に関すること | 60分 | |
危険性または有害性の調査に関すること | 30分 | |
グループ演習 | 130分 | |
安全衛生責任者教育 | 120分 |
職長が再教育を受けるメリット
職長が再教育を受けるメリットは4つあります。
- 作業現場の安全衛生環境を整えるために必要な知識を有している証明になる
- 職長としてのレベルアップがはかれる
- 現場での経験を踏まえて新たな知識を得られる
- 現場の機械設備変更などに伴う安全意識の向上をはかれる
職長としての知識やスキルの再確認と共に職長経験者同士で教育を受けるため、新たな知識や考え方を得られます。
法改正により職長教育の対象となる業種が拡大
法改正により職長教育の対象となる業種が拡大しています。2023年4月1日施行の労働安全衛生法の改正により、以下の業種では新任の職長に対して、安全衛生教育を行うことが義務付けられました。
- 食品製造業
- 新聞業
- 出版業
- 製本業
- 印刷加工業
今回の規則では労働災害の予防や従業員のヘルスケアに関する管理を強化し、組織の水準を強化する目的で導入されました。今後も職長教育の対象拡大はあると思います。
職長教育が有効に働くことで監督者は現場作業員の要望に答え、チームを適切に率いることができるようになるので、職長教育を忘れずに受けるようにしましょう。
職長教育期限|まとめ
職長教育の期限や職長再教育の必要性、安全衛生責任者教育の違いについて解説しました。
職長教育に期限はなく、再教育を受ける義務もありませんが5年ごとに受けると知識やスキルの再確認ができます。今後さらに職長教育が拡大していく可能性はありますので、労働災害を防ぎ、スキルアップのためにも職長教育は必ず受けましょう。