足場の組み方やその安全性・組立手順を解体作業まで徹底解説

2024年3月7日

建設現場において、安全な作業環境を確保するために欠かせないのが「足場」です。
足場は、高所での作業を行う際に使用するだけでなく「作業効率」や「安全性」を向上させる役割を担っています。本記事では、くさび足場や枠組足場・単管足場・吊り足場・軽量足場といった主要な足場の概要を紹介しつつ、特にくさび足場について詳しく解説いたします。

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足場の組み方の流れ

引用:外国人労働者に対する安全衛生教育教材作成事業(建設業)足場(作業床)の設置

足場にはさまざまな種類があり、構造や組み方はまったく異なります。
本記事では「くさび足場」「枠組足場」「単管足場」「吊り足場」「軽量足場」の各種類について概要を紹介します。これらの足場の特徴を把握していただくことで、適切な足場を選定し、安全な作業環境を確保することが可能になります。

足場の種類特徴主な用途組み方の概要
くさび足場・簡易で迅速
・構造がシンプル
・小規模工事・ポールを地面に打ち込み
・横木をポールに取り付け
・その上に床板を載せていく
枠組足場・組み立てが容易で、頑丈な構造
・多くの建設現場で使用
・一般的な工事・縦横のポールを組み合わせ、その上に床板を配置
単管足場・パイプを使用したシンプルな構造
・組み立てが迅速
・建築現場・縦横の単管パイプを組み合わせ、ジョイントで繋ぎ、その上に床板を取り付け
吊り足場・大空間や高所で使用
・建物の外側に吊るす構造
・高層建築・主に鉄骨やワイヤーで吊るし、足場を建物の外側に配置
軽量足場・軽量で持ち運びが容易
・主に小規模な工事で利用
・小規模工事・アルミや合成樹脂製の部材を使用し、組み立てが簡単

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【足場の組み方例】くさび緊結式足場の組み立ての手順

前述の通り、様々な足場があります。本記事ではくさび足場の組み方について、詳しく解説していきます。くさび足場は、正式には「くさび緊結式足場」という名称で、その簡便な組み立てと高い安定性から、多くの建設現場で採用されています。
それでは、作業前の準備から解体までの基本的な手順を、確認していきましょう。

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【手順1】作業に入る前に

くさび緊結式足場の組み立て作業を効率的かつ安全に進めるために、事前に行うべき手順があります。
まず技能講習修了者の中から、作業主任者を指名します。次に、作業個所の確認を行います。
組み立て図をもとに、敷地・地盤の状態や障害物(架橋・隣接の塀・立木など)の有無、作業範囲を事前に確認しておく必要があります。
これに加えて、ヘルメットや安全帯・ハンマーをはじめ、使用する工具・保護具の点検を行い、不良品を取り除いておきます。
これらの手順を実施することで、円滑かつ確実な足場を組み立てることが可能です。

【手順1】作業に入る前に

くさび緊結式足場の組み立て作業を効率的かつ安全に進めるために、事前に行うべき手順があります。

まず技能講習修了者の中から、作業主任者を指名します。次に、作業個所の確認を行います。

組み立て図をもとに、敷地・地盤の状態や障害物(架橋・隣接の塀・立木など)の有無、作業範囲を事前に確認しておく必要があります。

これに加えて、ヘルメットや安全帯・ハンマーをはじめ、使用する工具・保護具の点検を行い、不良品を取り除いておきます。

これらの手順を実施することで、円滑かつ確実な足場を組み立てることが可能です。 

作業開始前の打ち合わせの実施

作業開始前には、工事打ち合わせの結果や指示・伝達事項を確認するために、打ち合わせを行います。作業は経験・年齢・技能を考慮して各作業員に分担され、健康状態についても十分に気を配られます。

これらの要素を考慮した打ち合わせを実施することにより、円滑に作業を開始することができます。

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作業の方法や手順

作業に関する方法や手順についても説明を行い、作業員全員で確認します。

特に、作業における運搬方法や移動方法は注意すべきポイントで、詳細な説明が行われます。

併せて、過去の災害事例を挙げて同様の事態を未然に防ぐための対策を提示したり、危険予知訓練を実施したりすることにより、作業全体が円滑かつ安全に進行するようになります。

関連記事:【わかりやすく解説】足場からの墜落防止対策の強化関係|一人親方に業務を発注する際の注意点

【手順2】第1層目の組立作業

第1層目の組立作業は、足場を作るための工程です。

まず、建物の前に足場部材を配置します。建物の軒の長さに合わせて作業床を置き、足場組立図面に従って、緊結部付布や支柱・ジャッキベース・作業床などを配置しておくと、作業をスムーズに進められます。

次に、脚部を固定します。ジャッキベースの下には敷盤(アンダーベース)を使い、2本以上の釘でしっかりと固定します。

敷盤に割れや腐食がないか、しっかりと点検しておくことは大切です。敷盤はプラスチック製のものが多く使用されています。最後に、支柱を組み立てます。

支柱の組立

支柱の組立は、以下の手順で進めます。

1.ジャッキベースに支柱を差し込む
・コーナー部の敷盤(アンダーベース)の上に、ジャッキベースをしっかり固定します
・ジャッキベースに支柱を差し込みます

2.緊結部付布とハンマーを使って支柱を固定する
・緊結部付布を使って支柱同士をハンマーでしっかりと打ち込み、安定させます

3.緊結部付布をブラケットに取り付けて本足場形式にする
・ブラケットに合った緊結部付布を内側の支柱に取り付け、1つのスパンだけで本足場形式にします

4.建物に合わせたスパンを決め、緊結部付布を使って連結する
・建物に合わせたスパンを決め、緊結部付布を使って次の支柱にハンマーで連結します

5.作業床の取り付けと作業床の設置
・作業床の位置を決め、その場所にブラケットを差し込み、作業床を設置します

6.緊結部付布を作業床から90cmの高さにはめ込む
・作業床から腰の高さ(90cm)の高さに緊結部付布を差し込みます

7.下屋部の接続と支柱の設定
・下屋部の接続を考慮し、支柱の位置を確定して建てます

8.内柱の建設
・内柱は2つのスパンごとに建てます
・出窓や霜除けなどに気を付けながら、慎重に建てます

9.内柱の配置に気をつける
・内柱の配置は、間口を避けつつ注意深く行います

【手順3】第2層目の組立作業

第2層目の組立作業(建込み)も、第1層目と同様、建物のコーナー部分から中央に向かって進み、1周して完了します。

支柱の建込みでは、ジョイント部は同一層内で千鳥状に配置され、シートやパネルの養生時には風荷重を考慮し、必要に応じてロックピンを入れます。

緊結部付布やブラケット・作業床の取り付け作業では、部材の受け渡しに注意が必要です。

確実な合図を口頭で行い、特に渡す側は受け取る側をよく確認してから手を離すようにしましょう。緊結部付布は第1層目の作業床から腰の高さ(90cm)に取り付け、くさび取り付け部の補強キャップを手ハンマーで打ち込みます。

3層目以上は、2層目と同じ作業工程で進めていきます。

【手順4】リース協会基準の下屋吊り足場の組立作業

リース協会基準の下屋吊り足場の組立作業は、まず軒上部分に下屋補強部の支柱を追加し、転落防止用緊結部付布を取り付けます。

緊結部付布の取り付け位置は、安全を最優先にして定めます。続いて、地上からの支柱に根がらみ用緊結部付布を差し込み、屋根の勾配に応じてポケットの位置を調整します。

敷板に自在ジャッキをクギで固定し、支柱を下屋に差し込み、ジャッキの高さを調整して根がらみ用緊結部付布を取り付けます。

根がらみ用緊結部付布の取り付けでは、支柱を1本差し込むごとに緊結部付布で接続し、くさび取り付け部の補強キャップを手ハンマーで打ち込みます。

支柱を地上より連結し、支柱の建込みを完成させます。ブラケットと作業床の取り付けについても、屋根の勾配と高さを考慮して支柱にブラケットを挿し込み、ブラケットに作業床を取り付けます。

その後、作業床の位置から腰の高さ(90cm)に緊結部付布を取り付け、くさび取り付け部の補強キャップを打ち込みます。

最終的には、次の作業のために軒上近くの緊結部付布2本を仮付けしておくことが必要です。

【手順5】控え柱・火打梁・大筋かいの取り付け

控え柱や火打梁・大筋かいの取り付け手順は、まず必要な材料(単管パイプ・打ち込み杭・自在クランプ)を用意し、組立図に基づいて設置位置に配置します。

杭の位置決めは角度60°程度になるように打ち込みます。

控え柱の場合、控え柱と杭を自在クランプで固定し、支柱との固定と水平つなぎを施します。

火打梁の場合、足場の最上部に単管を火打ち状に取り付けます。支柱同士に取り付け、緊結部付布には取り付けません。

大筋かいの場合、設置面と45°程度の角度で取り付け、建物の構造によっては八の字に配置します。

壁ジャッキや圧縮材・壁つなぎの取り付け

壁ジャッキや圧縮材の取り付けは、ジャッキホルダーに取り付けます。

内柱から取り付ける場合は、下組み時に支柱のポケットの向きを調整して、低いポケットに取り付けられるようにします。外柱から取り付ける場合は、通行の妨げにならないように十分な注意が必要です。

壁つなぎの取り付けは、足場にかかる荷重を考慮し、安全率を確保しながら取り付けます。インサートは建物の構造に合ったものを選び、強度を確認してから使用します。

原則避けるのは不完全な先行足場の場合です。メッシュシートは標準施工なので、設置は原則として避け、イメージシートを配置する場合は強度のある足場コーナー部に配置し、中央部に配置する場合は控えによるシート両側の補強を実施します。 

【手順6】昇降施設の取り付け

昇降階段は、建物の形状や設置スペースに応じて自由に設計できます。

昇降階段の設置時には、高さ3.6mごとに踊り場を設ける必要があり、階段と並行に上がるように階段緊結部付布を取り付けます。

階段緊結部付布の代替として筋交いを使用することも可能です。

また、昇降階段の下端から地面レベルまでの距離が300mm以上になる場合は、補助ステップを取り付ける必要もあります。

これらの注意点に従うことで、安全かつ効果的に昇降施設を取り付けることができます。

【手順7】解体作業

解体作業を開始する前に、車両や建物の状態を確認し、他の作業者がいれば声をかけます。

根がらみ用緊結部付布が外れていないかも確認することが必要です。

次に火打梁の取り外し作業を行い、その後に屋根部分の斜材・控え材・水平材の取り外し作業を進めます。

下屋部分の解体作業では、作業床やブラケット・根がらみ緊結部付布、支柱やジャッキの順に取り外します。最後に、斜材・控え材の取り外し作業を行います。

全ての作業が終了したら、取り外した部材を所定の場所に整頓し、解体作業を完了させます。

足場の組み方:まとめ

足場は建築作業において安全かつ効率的な作業環境を構築するために不可欠です。

本記事では、いくつかの足場の種類を理解していただき、くさび足場の組み方の手順について詳しく解説しました。

確実な手順と適切な安全対策を常に心掛け、効率的かつリスクのない足場作業を心掛けることが大切です。

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