吊り足場とは?組み方の手順・注意点やメリット・デメリットについて詳しく解説

2024年2月7日

本記事では吊り足場の組み立て方の手順・注意点やメリット・デメリットについて詳しく解説します。

吊り足場の導入を検討している人は、本記事で理解を深めて頂けたら幸いです。

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吊り足場の使用用途と構造は?

吊り足場は文字通り、建築物などから足場板を吊って設置を行います。足場を吊ることによって地上の状況が悪かったり、地上から作業場まで離れていたりなど、通常では足場を組めない現場環境で活躍するのが特徴です。

新築工事だけではなく、橋梁・高層ビルの定期点検や補修修理など、さまざまな現場で使用されています。

そのような吊り足場を構成する主な部材は、以下のとおりです。

・チェーンクランプ

・つりチェーン

・パイプ

・足場板

・落下防止ネット

吊り足場と他の足場の違い

足場の種類にはさまざまありますが、例として「くさび式足場」「枠組み足場」「単管足場」は、地上と垂直方向に組み立てます。一方で吊り足場は地上と垂直方向ではなく、地上と水平方向に組み立てる点が大きな違いです。

橋梁から足場板を吊り、橋に平行して水平方向に足場を組み立てるのが吊り足場の特徴です。

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吊り足場は2種類

地上から足場を組み立てるのが困難な現場にて、設置されることが多い吊り足場。そのような吊り足場には、以下の2種類があります。

・吊り枠足場

・吊り棚足場

それぞれの吊り足場の特徴について順に説明します。

吊り枠足場

吊り枠足場は、あらかじめ地上で組み立てるのが特徴的です。組み立てた吊り枠足場を、所定の位置まで搬入して設置します。

したがって吊り棚足場よりも、高所で足場を組み立てる作業が少ないのも魅力。一方で吊り枠足場を組み立てるために、作業スペースを確保する必要があります。

組み立てた吊り枠足場を、設置場所まで搬入する方法や経路を確保しなければいけません。設置場所以外にも確認すべき点は多いので注意が必要です。

吊り棚足場

吊り棚足場の特徴は、鉄骨梁などに吊り金具を取り付け、つりチェーンで足場板を吊って設置する点です。

水平方向に足場板を延長できるため、橋梁の定期点検や補修修理などにも用いられます。吊り枠足場と大きく異なる点は、設置する高所で吊り棚足場の組み立ても解体作業も行う点です。

省力化や省技能化が図られたシステム吊り足場を用いれば、足場での作業はもちろん、組み立てから解体まで、手すり内で大半の作業を行えます。

吊り足場の3つのメリット

吊り足場のメリットは3つです。

  1. 工期が短縮できる
  2. 安全性の確保ができる
  3. 広範囲の作業ができる

1.工期が短縮できる

通常の足場「くさび式足場」「枠組み足場」「単管足場」と比べて、吊り足場は工期の短縮を図れます。

通常の足場は地上から垂直方向に組むため、作業場を水平に移動することが困難です。新たな足場を設置するか、盛り替える作業が必要になります。

一方の吊り足場では盛り替えることなく、水平方向に延長が可能です。

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2.安全性の確保ができる

空中での作業が主な吊り足場ですが、足場内での作業や足場の延長などは、手すり内での作業が基本になります。

また通常の足場と違い、階段昇降などの上下移動が少なく、平行移動がメインになるのもポイント。

作業範囲に合わせて広い作業スペースも確保できるので、通常の足場と同程度の安定性と安全性を確保できます。

3. 広範囲の作業ができる

通常の足場における作業範囲は、接地する面積や足場の高さに依存します。しかし吊り足場は、地上の広さや状況に影響されません。

耐荷重などの制約を受けますが、水平方向に延長が可能なため広範囲の作業を行えます。

例えば橋梁の点検作業では、橋の両端に合わせて組み立てることで、盛り替えせずに広範囲の作業が可能です。

吊り足場の2つのデメリット

吊り足場のデメリットは2つです。

・組み立てに高い技術が必要とされる

・事故のリスクが存在する

組み立てに高い技術が必要とされる

通常の足場のように地上から組み立てるのではなく、吊り足場は空中で組み立てる必要があります。吊り足場の組み立てには、全作業員に高い技術が求められるのがデメリットです。

接地せずに吊るという足場の構造上、どうしても揺れが生じるため、作業者同士のチームワークも求められます。

さまざまな足場の中でも、足場の構造・設置場所・作業環境など、すべての難易度が高く作業には細心の注意が必要です。

事故のリスクが存在する

通常の足場と同様に、吊り足場でも墜落・転落による事故のリスクが存在します。さらに通常の足場と比べて、接地していない吊り足場での作業は、どうしても足元が不安定になりがちです。

システム吊り足場など省力化や安全性が向上した吊り足場の導入や、安全設備の改良などは日々行われています。

しかし墜落・転落による事故のリスクが常に存在することを理解して、吊り足場上での作業を慎重に取り組みましょう。

吊り足場の組み立て手順

従来の吊り足場の組み立て手順を、4つに分けて解説します。

手順①:準備

手順②:組み立て

手順③:解体

手順④:後片付け

手順①準備

作業を開始する前に、全作業員でKY運動を実施します。有資格者を配置した後、吊り足場の部材・保護具・工具の点検を行います。

吊り足場の設置や点検には、資格・十分な知識と経験を有することが必要です。また設置作業時には、足場組立等作業主任者や玉掛け技能講習修了者を選任することが必要です。

作業者にも足場の組み立てなどの業務に係る特別教育のほか、フルハーネス型安全帯使用作業特別教育を修了させましょう。

手順②組み立て

吊り足場の設置場所近くまで、部材を搬入します。設置場所に到着後、墜落制止用器具を取り付ける親綱など安全設備を設置。

組み立ての工程は、以下のとおりです。

  1. チェーンクランプを取り付ける
  2. つりチェーンをかける
  3. 親パイプを流す
  4. コロバシパイプを取り付ける
  5. 足場板を敷く
  6. 落下防止ネットを張る
  7. 足場板を全面に敷く

手順③解体

足場設置や点検が終了し、解体が必要になった場合、解体作業に進みます。

  1. 足場板の一部を外す
  2. 落下防止ネットを外す
  3. 足場板を外す
  4. コロバシパイプを外す
  5. 親パイプを外す
  6. つりチェーンを外す
  7. チェーンクランプを外す

手順④後片付け

吊り足場の解体を終えたら、取り忘れの部材や工具などはないか確認しましょう。その後回収した部材の状態と、数量に差異がないかも忘れず確認すること。

高所作業車などの撤収後に、チェーンクランプなどの取り外し忘れがあると大問題に発展するかもしれません。

部材の搬出後に養生を外して、清掃まで終えれば作業完了です。

吊り足場:まとめ

吊り足場には

・工期が短縮できる

・安全性の確保ができる

・広範囲の作業ができる

という3つのメリットがあります。

一方で組み立てに高い技術が必要とされたり、事故のリスクが存在したりするデメリットも潜んでいます。

通常の足場とは異なる特徴やリスクを理解して、吊り足場での作業を安全に行わなくてはいけません。