枠組足場の相場とは?主要部材の寸法や高さ制限とメリット・デメリットについて解説

2024年2月23日

シンプルな設計を採用しており、簡単に組み立てられるのが「枠組足場」です。安定性や耐久性にも優れているため、一般住宅から高層ビルまで幅広い用途で活用できます。

本記事では、枠組足場について詳しく解説します。メリットやデメリットについても紹介します。

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枠組足場とは?

枠組足場とは、鋼管を門型に溶接した建枠にさまざまな部材を組み合わせて建設する仮説足場を指します。

1952年(昭和27年)にアメリカのビティスキャホード社から輸入したことをきっかけに「ビティ足場」とも呼ばれており、歴史ある足場材のひとつです。枠組足場は、現在も多くの建設現場で使用されている主流のタイプです。

ほかの足場と比較して多数の基本部材を組み合わせるのがポイントです。建枠を中心として、ジャッキベース・鋼製布板・筋交いなどを使用します。

パイプや手すりなどを足場の緊結部にハンマーで打ち込む「くさび緊結式足場(ビケ足場)」とは異なり、高層工事に対応できるのがメリットといえます。

また組み立て作業を行う際にハンマーではなく、ボルトや番線などを使用するので、くさび緊結式足場と比較して騒音を軽減が可能。

足場材のなかではスタンダードなタイプのため、組み立てや解体作業をスムーズに行いやすいのもポイントです。

さらに、クレーンを使うことで大組み・大払しと呼ばれる工法を採用できるので、高所での足場作業を安全かつ効率的に進められます。高層マンションや高層ビルなどの大規模な施工を行う場合に使用されています。

なお、複雑な形状の建物には不向きなケースもあるほか、部材を保管する際に広いスペースを確保する必要があります。部材の保管場所から設置場所までの距離が遠い場合、施工に時間がかかるといった可能性もあるため注意が必要です。

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法律で見る枠組足場

足場からの落下防止を強化するため、労働安全衛生規則が改正されました。2009年6月1日に施工されており、改正によって枠組足場は以下の落下防止措置が必要になります。

  1. 筋交+幅木(高さ15cm以上)
  2. 筋交+下さん(高さ15〜40cmの位置)+メッシュシート
  3. 筋交+下さん・幅木と同等以上の措置(高さ15cm以上)
  4. 手すり枠+幅木(高さ10cm以上)
  5. 手すり枠+メッシュシート
  6. 手すり枠+幅木と同等以上の措置(高さ10cm以上) 

枠組足場と単管足場の違いは?

枠組足場と単管足場は、主に使用する用途が異なります。枠組足場は、マンションなどの大規模な工事に適した足場です。建枠に筋交を取り付けて補強を行い、手すりや階段なども設置します。比較的組み立てやすく、安定性に優れているのが特徴です。

一方で単管足場は、一般住宅やアパートなど小規模な工事で使用されることの多い足場です。単管パイプをクランプやジョイントと呼ばれる部材で組み合わせて足場を建設します。

さまざまな形状の建築物に対応しやすいほか、部材を安価な価格で購入しやすい特徴があります。

枠組足場の主要部材

枠組足場の主要な部材は、建枠を中心にジャッキベース・鋼製布板・筋交・脚注ジョイント・クランプ・階段枠・梁枠・壁つなぎ・手すり柱・手すり枠・メッシュシートなどが挙げられます。

なお、枠組足場は落下防止対策として手すり枠・幅木・メッシュシートの設置を義務付けられています。そのため、ほかの足場と比較して組み立てに必要な部材が多い傾向です。

枠組足場の寸法と種類

枠組足場の寸法には「インチ規格」と「メーター規格」の2種類が存在します。アメリカでは一般的にインチ規格が使われており、輸入当初はインチ規格が主に普及していました。しかし、現在では日本で馴染みのあるメーカー規格も展開されています。

インチ規格は短い製品で610mm、長い製品は1829mmです。一方でメーター規格は短い製品で600mm、長い製品で1800mmになります。インチ規格よりもメーター規格の方がやや短いため、部材の運用コストを抑えやすいのがポイントです。

なお、同じ枠組足場でも規格が異なる場合は、併用して使うことができないので注意が必要です。

枠組足場の高さ制限

高層工事に対応できる枠組足場ですが、安全面から高さ制限が設けられています。

標準枠組足場と簡易枠組足場の場合は原則として高さ45m以下で、地上から15階建てほどの高さに相当します。壁つなぎは水平方向8m以下、垂直方向は9m以下の間隔で設置するのがポイント。

また、低層工事用の簡易枠組足場の場合は、高さ5.7m以下の制限があります。壁つなぎを垂直方向に3段ごと、水平方向で5.4mごとに取り付けた際は高さ制限が9.4mになります。

制限を超える足場を建設する場合は、枠組足場以外を使用しなければなりません。

枠組足場のメリット

枠組足場のメリットは、主に以下の2点です。それぞれのメリットについて解説します。

・耐久性が高い

・組み立てや解体が簡単

耐久性が高い

枠組足場には、強度の高い素材が採用されているので、優れた耐久性を備えているのがメリットです。耐久性の高さは安全性にもつながるため、高層工事の足場材として適しています。

また頑丈なため、長期間使用しやすいのも魅力です。状態によっては部材を買い換える頻度を軽減できるため、コスト削減につなげることができます。

組み立てや解体が簡単

組み立てや解体作業が比較的簡単にできるのも枠組足場のメリットです。ほかの足場材と比較するとシンプルな設計の製品が多く、慣れればスムーズに組み立てや解体を行えます。

スタンダードなタイプのため、足場の組み立て経験を有している方なら容易に扱いやすいのもポイントです。

鋼製布板の表面に凹凸が施されており、滑りにくい点も組み立てやすい理由のひとつといえます。

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枠組足場のデメリット

一方で枠組足場には、デメリットも存在します。具体的には以下の2点です。

・複雑な形状には適していない

・コストが高くなる

複雑な形状には適していない

枠組足場は各部材を組み合わせて建設するため、複雑な形状の建物に適していないのがデメリットです。特にカーブ状の建物に設置する際は、工事に時間がかかる場合もあります。

ただし、部材の種類が豊富なので、時間をかけたり必要な部材を用意できたりすれば複雑な形状の建物にも対応できます。

少しでも組み立て時間を軽減するために、事前の打ち合わせを入念に行う必要があります。

コストが高くなる

耐久性に優れており、長く使用できる分、コストが高くなりやすいのもデメリットです。

部材自体のコストのほか、資材置き場から現場まで運搬するコストや大バラシなどで使用するクレーンのコストが発生する場合もあります。

予算が限られており、ほかの足場材を代用できる際は枠組足場以外の選択肢も検討する判断も必要です。

枠組足場:まとめ

今回は枠組足場の概要を中心に、メリット・デメリットや価格相場についても解説しました。

枠組足場は現在もさまざまな建物に使用されている足場材で、優れた耐久性と組み立てやすさを実現しているのが魅力です。

ただし、複雑な形状の建物は不向きのため、高いコストが発生しやすい点には注意が必要です。枠組足場の特徴をしっかりと把握したうえで購入を検討してみてください。