労働安全衛生規則で定められている足場板の隙間はどのくらい

2024年4月30日

安全強化を目的として2015年に墜落災害防止措置の強化が実施されました。その背景には、足場からの墜落や転落などの災害増加があります。

基本的に足場の建設は高所での作業になるため、災害防止の観点から足場板についての知識を持つことが大切です。今回は、労働安全衛生規則で定められた項目を詳しく解説します。

労働安全衛生規則で定められた作業床に関する規則

労働安全衛生規則により、2m以上の高所作業を行う際は作業床(足場板)の設置が義務付けられました。作業床を設置することで、材料の運搬や重いものを設置するといった作業を安全に行いやすいのがポイントです。

もし規則に反して作業床を設置しなかった場合は、転倒や踏み外しなどの事故に繋がる可能性があります。事故を予防するためにも、労働安全衛生規則で定められた項目をしっかりと把握しておくことが重要です。労働安全衛生規則のうち作業床に関する規則を詳しく解説します。

足場の材料

労働安全衛生規則では、墜落によって作業員に危険を及ぼす可能性がある足場には、著しい損傷・変形・腐食がない足場材を使用する必要があると定められています。足場に使用する木材の場合は、割れ・虫食い・繊維の傾斜などがないほか、木皮を取り除いたものでなければ使えないので注意が必要です。

また、日本工業規格(JIS規格)に適合している必要がある点も把握しておきたい項目です。ただし、正規で販売されている足場材は、基本的に日本工業規格に適合しています。

関係のある同業者などから中古の足場材を購入した場合などは、労働安全衛生規則で定められた基準をクリアしているか確認しましょう。

積載の規則

作業床を設置する場合、積載の規則もチェックしておきたいポイントです。仮に新品で日本工業規格に適合する足場材を使用しても、定められた最大積載荷重を超えると作業を行えません。

また、足場の構造や材料に応じて定められた最大積載荷重は、すべての作業員などに周知する義務も発生します。足場の建設に関わるすべての作業員が最大積載荷重を把握したうえで工事を行う必要があります。

設備内容

労働安全衛生規則では、足場を建設する際に必要な設備も定められています。

枠組足場を例に挙げると、次のうちいずれかの設備が必要です。1つは交さ筋交い、もう1つは15cm以上40cm以下の桟(さん)、または高さ15cm以上の幅木が義務付けられています。

腕木・布・はり・脚立などの支持物は、壊れる心配のない耐久性を備えたものを使用しなければいけないのもポイントです。また、作業時に工具などが落下する可能性がある場合は、高さ10cm以上の幅木もしくはメッシュシート・防網を設置する必要があります。

そのほか、さまざまな規則があるため、事業者や現場責任者は留意しておきましょう。

足場板の隙間について労働安全衛生規則が強化された背景

労働安全衛生規則はもちろん、規則が強化された背景を把握しておくことも重要です。

なぜなら、近年の建設業界では、足場から転落や墜落する災害が増加傾向にあるからです。また、足場からの墜落災害で約9割が労働安全衛生規則に反する工事を行った結果、災害に繋がっているといわれています。

災害を予防するため、2015年に墜落災害防止措置の強化が実施されたほか、足場の組み立てに関する特別教育も行われました。

基本的に足場工事は高所作業になるので、一歩間違えると命を落とす可能性のある危険な仕事です。事故を防ぐためにも、労働安全衛生法を守ったうえで、事業者や現場責任者は安全確保に努めることが大切です。

そもそも労働安全衛生規則による足場板の隙間とは

労働安全衛生規則による足場板の隙間とは、床材と建地の間にある長さのことです。

足場板の隙間は、12cm未満と決められています。足場板の隙間を狭くすることにより、材料などが落下するのを防止するほか、踏み外しといったリスクを軽減できます。

なお、足場板の隙間を12cm未満に定めると、既に設置している床材を片方に寄せた際に、もう1枚新たに床材を追加できるのがポイントです。金具の規定では床材の幅は24cm以上と決められており、足場板の隙間が12cm未満あることで床材を敷き詰める隙間を確保できます。安全面に配慮されていることはもちろん、万が一に備えた安全対策といえます。

労働安全衛生規則で定められた足場板の隙間はどのくらい?

労働安全衛生規則で定められた足場板の隙間は、次の通りです。

  • 床材間の隙間を3cm以下にする
  • 幅40cm以上のものにする
  • 床材と建地の隙間は建物と垂直方向に12cm未満とする

足場板を使用する際は、上記の3つに注意する必要があります。特に労働安全衛生規則の改正後に定められた、床材と建地の隙間を12cm未満にする点は抑えておきたいポイントです。

床材と建地の隙間を12cm未満にすることで、新たに足場材を追加する狙いがあります。万が一に備えたルールなので留意しておきましょう。

【重要】労働安全衛生規則の足場板の隙間が適用されない場合がある

労働安全衛生規則によって足場板の隙間は決められていると解説しました。しかし、なかには規定が適用されない場合もあります。例えば、床材と建地の隙間が24cm未満のケースやカーブ状の建物に足場を建設するケースが挙げられます。

床材の最小幅を24cmと想定しているのが理由で、はり間方向における建地と床材の両端との隙間を24cm未満にするのが困難であれば、労働安全衛生規則は適用されません。この場合は防網を設置するといった代替措置が認められています。

また、はり間方向における建地の内法幅が64cm未満の足場の作業床で、床材と腕木との緊結部が特定の位置に固定される構造も適応されません。例えば、60cmのブランケットを使用してビケ足場を建設する場合、6月30日までに製造されたものなら適用を免れます。

まとめ

今回は、労働安全衛生規則で定められた作業床に関する規則について紹介しました。規則を正しく把握することで事故防止に役立ちます。特に足場工事では、高所作業が中心になるため、安全対策をしっかりと行うのが重要です。

現場責任者や事業者はもちろん、足場に関わるすべての作業員が安全確保のために労働安全衛生規則を把握しておきましょう。