張り出し足場とは?特徴や足場を組む際の注意点・墜落防止対策を解説

2024年4月10日

一般的な足場が立てられない現場では、張り出し足場を使用します。あまり聞き慣れない方もいるかもしれませんが、足場が組めない場所において張り出し足場は有効な手段となります。

本記事では、張り出し足場の概要や特徴、組む際の注意点や墜落防止対策などについて解説します。

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張り出し足場とは?

張り出し足場は、建物の外側に張り出し部材を取り付けながら組み立てて設置する足場のことを指します。

張り出し足場はブラケット構造となっていて、足場を構成する鉄骨フレームや足場材を支えることができ、従業員の安全な移動・作業を可能にします。安全性を確保するため、アンカーボルトなど強度の高い道具を使って取り付けるのが一般的です。

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張り出し足場の特徴

張り出し足場の特徴は、足場を組み立てられない場所でも設置できる点が挙げられます。

足場を建物に取り付ける構造となっているため、狭いスペースや地面が凸凹した不安定な現場でも設置することができます。

張り出し足場の墜落防止対策

張り出し足場では墜落の危険性があるため、厚生労働省が労働安全衛生規則第564条で張り出し足場の墜落防止対策について記載しています。

足場材の緊結・取り外し・受け渡しなど作業時の安全帯取付設備の設置などつり足場や張出し足場・高さが2m以上の構造の足場を組立て・解体・変更する際に、足場材の緊結・取り外し・受け渡しなどの作業を行うときは、次の措置がいずれも必要です。

①困難な場合※1を除き、幅40cm以上の作業床を設置してください。

②安全帯を安全に取り付けるための設備などを設置し、労働者に安全帯を使用させるか、これと同等以上の効果を有する措置をとってください。

※狭小な場所や昇降設備を設ける箇所に幅40cm未満の作業床を設けるとき、つり足場の組立てなどの作業で幅20cm以上の足場板2枚を交互に移動させながら作業を行うときを含みます。

引用:厚生労働省【足場からの墜落防止のための措置を強化します】

他にも詳細なルールがあるため、張り出し足場を取り付ける際は、厚生労働省が定めている労働安全衛生規則第564条を確認してください。

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張り出し足場に関するその他の法令

張り出し足場については、労働安全衛生規則第564条以外にも、第519条も確認しておく必要があります。

事業者は、高さが2メートル以上の作業床の端、開口部等で墜落により労働者に危険を及ぼすおそれのある個所には、囲いや手すり・覆い等(以下この 条において「囲い等」という。)を設けなければならない

2.事業者は、前項の規定により囲い等を設けることが著しく困難なとき又は作業の必要上臨時に囲い等を取り外すときは、防網を張り、労働者に安全帯を使用させる等墜落による労働者の危険を防止するための措置を講じなければならない。

引用:厚生労働省【労働安全衛生規則(作業床の設置等)】

張り出し足場の利用シーン

張り出し足場の利用シーンとして、狭い空間や人通りが多いエリア、駐車場のある場所などが挙げられます。

隣接する建物との間が狭いと、足場を組むのに必要なスペースを確保できません。また、人通りが多いエリアでは、通行の妨げとなってしまう可能性があります。張り出し足場はこうしたシチュエーションに適した足場で、作業空間を確保することが可能です。

さらに、足場を設置した場所にカーポートやガレージがある場合にも、張り出し足場が採用されます。車の出入りを妨げないために、ブラケット構造の張り出し足場が有効です。

張り出し足場を組む際の注意点

張り出し足場を組む際には、以下の2点に注意する必要があります。

・建物の強度を確認する

・ブラケットやアンカーの強度を確認する

それぞれの注意点について解説します。

建物の強度を確認する

張り出し足場は特殊な条件下で設置する足場であるため、建物が足場の重さや風に耐えられるかを確認し、緻密に計算した上で安全性を確保する必要があります。

現段階での建物の強度を適切に評価し、設置しても問題ないか検討します。

ブラケットやアンカーの強度を確認する

ブラケットやアンカーは張り出し足場の基礎となるため、十分な強度を確保しているか確認する必要があります。改修工事で後付けのアンカーを使用する場合も、引き抜きやせん断に耐えられることが証明された上で使用を進めます。

張り出し足場以外の足場の種類

ここまで張り出し足場について紹介しましたが、張り出し足場以外にも足場にはさまざまな種類があります。

ここでは、張り出し足場以外の種類の足場を9つ紹介します。それぞれの特徴を理解して、現場に最適な足場を選択をします。

単管足場

単管足場とは、単管という鉄パイプを使って組み立てる足場のことです。

単管同士をボルトやクランプで接合し、狭い空間でも作業場を提供します。単管足場はシンプルな構造となっているため、組み立てや解体を簡単に行うことができます。また、さまざまな建物の形状に適応することも可能です。

ただし単管足場は作業床を作らないため、十分な強度があるとは言えません。安全性を考慮する場合、単管足場は向いていないでしょう。

単管ブラケット足場

単管足場の構造にブラケットとアンチを取り付けることで、作業床を設置した足場を、単管足場と言います。

狭い空間で組み立てられる単管足場の特徴に加え、安全性も向上しています。耐荷重性も高く、墜落リスクを抑えることが可能です。

ただし、ブラケットとアンチを組み立てるため、単管足場に比べて組み立て・解体にかかる時間が長くなる傾向があります。足場の設置に時間がかかると工期にも影響するため、注意しましょう。

枠組足場

枠組(ビティ)足場とは、ジャッキベース・筋交などの部材を、門型に溶接された建枠に組み立てて設置する足場を指します。

軽量で組み立てやすく、ハンマーなどを使用しないため騒音の心配をしなくていいのが特徴です。広いスペースが必要となりますが、資材の販路・置き場も確保しやすくなります。

また、安全性にも考慮されていて、高所での作業にも適しています。

そのため、ビティ足場はスタンダードな足場として、多くの現場で採用されています。

吊り足場

足場の種類の1つである吊り足場は、建物の上部から吊るされた構造となっている足場です。

鉄骨などを使用して建物の上部から足場を吊り下げることで、作業できる空間を確保できます。そのため、高所での作業に適した足場といえます。

ただし、吊り足場は他の足場に比べて落下する危険性が高く、安全に配慮しなければいけません。従業員が安全に作業できる状態であるか確かめるために、足場の点検や安全確認などには時間をかけるようにしましょう。

くさび式足場

現場で使用する足場として最もオーソドックスなのが、くさび式足場です。

くさび式足場は支柱や部材などに金具を打ち込み、鋼管や斜材、水平材などを組み合わせて足場を設置します。ハンマー1本で設置・解体まで行えるため、スピーディな組み立てが可能です。

ハンマーを叩く騒音や設置スペースの確保など注意点もありますが、組み立て作業の負担軽減や安全性の確保といったメリットが多く、さまざまな現場で採用されています。

移動式足場(ローリングタワー)

移動式足場とは、キャスターが取り付けられた足場のことです。

枠組足場のように建物の外側を囲むように設置され、手すりや梯子を取り入れた設計となっていて、垂直・水平方向に移動しながら作業することが可能です。天井や壁の上部、配管、塗装などの工事に適しています。

ただし、作業する際はキャスターブレーキをかけなければいけません。また、高い位置をキープしながら移動するとなると危険も伴うため、使い方には十分に注意する必要があります。

脚立足場

脚立を足場として使用する脚立足場は、小規模な作業現場に適した足場です。

脚立同士を並べ、水平材やゴムバンドなどで安定させることで足場として使えます。高さの微調整が簡単にできるため、狭いスペースでの作業に適しています。

脚立足場は柱や壁への取り付けは不要で、迅速な組み立てや移動が可能です。手軽な作業やメンテナンスに適した足場ですが、大規模な工事や高所での使用は不向きと言えるでしょう。

手すり先行足場

手すり先行足場とは、足場の組み立てる前に手すりを取り付ける工法を指します。

手すりを先行して取り付けることで、従業員が足場を登り降りする際に手すりを利用でき、高所での作業における緊張の緩和や落下リスクの防止に役立ちます。取り付けるのも簡単で、足場の組み立て・解体時間に大きく影響しません。

手すり先行足場は安全性も高く、厚生労働省も推奨する足場となっています。作業効率や従業員の心理的負担、安全性を踏まえても、手すり先行足場はおすすめです。

次世代足場

現代の工事現場環境や人材の特徴などを踏まえ、安全性・効率性を向上させたのが次世代足場です。

次世代足場は軽量かつ強固な部材を使用し、組み立てや移動が簡単になりました。高い耐荷重性を備え、安定した足場を組み立てます。ヘルメットや安全靴など落下リスクに備えた対策も充実していて、従来に比べ広い施工範囲を確保できます。

部材が抜けるといった危険性にも対応するなど、さまざまな面で改良された次世代足場は、今後多くの作業現場で採用されるでしょう。

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張り出し足場|まとめ

張り出し足場は狭いスペースや地面が不安定なエリアなど、一般的な足場は立てられない場所でも設置することが可能です。

ただし墜落のリスクがあるため、基礎となる部材の強度を確かめ、厚生労働省が定めている労働安全衛生規則を確認することをおすすめします。従業員の命を最優先に考え、安全性を確保してから現場で使いましょう。

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