単管足場とは?部材の名称・役割や組み方を解説
2024年2月8日
単管足場は、狭い場所で単管足場は、狭い場所でも設置することができ、組み立ての柔軟性の高さが特徴です。
一方で、組み立てに時間がかかることや他の足場に比べて強度がやや劣るという欠点もあります。本記事では、単管足場とは何か、概要と組み立て手順について解説していきます。
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単管足場とは
単管足場についてご存知な方は先へお進みください。
単管足場とは、直径48.6mmの鋼管で作られた単管パイプを、クランプと呼ばれる金具で接続し、ボルトでしっかりと固定して組み立てる足場の種類です。
単管パイプとクランプの組み合わせによって、柔軟に形状を変えることができるため、狭い場所でも効果的に使用することができます。一般的には、低層の外壁塗装などで使用されます。必要な部材がホームセンターで手に入りやすいこともメリットです。
一方で他の足場と比べると、組み立てや解体に少し時間がかかる上、強度はそれほど高くないという特徴があります。
関連記事:【2024年度】足場とは?足場種類や基礎知識や施工事例を徹底解説
単管足場の労働安全衛生規制について
単管足場の構成に関しては、労働安全衛生規則の第 571 条に規定があります。
<労働安全衛生規制 第571条>
一 建地の間隔は、けた行方向を一・八五メートル以下、はり間方向は一・五メートル以下とすること。
二 地上第一の布は、二メートル以下の位置に設けること。
三 建地の最高部から測つて三十一メートルを超える部分の建地は、鋼管を二本組とすること。ただし、建地の下端に作用する設計荷重(足場の重量に相当する荷重に、作業床の最大積載荷重を加えた荷重をいう。)が当該建地の最大使用荷重(当該建地の破壊に至る荷重の二分の一以下の荷重をいう。)を超えないときは、この限りでない。
四 建地間の積載荷重は、四百キログラムを限度とすること。
労働安全衛生規制 第571条に基づく単管足場の構成
単管足場を組み立てる際には、労働安全衛生規則 第571条を厳守する必要があります。
・建地の間隔は、けた行方向を1.85m以下、はり間方向を1.5m以下とします
・地上第一の布は、高さ2m以下の位置に設けます
・建地の最高部から測って31mを超える部分の建地は、鋼管を2本組とします
建地の下端に作用する設計荷重が、当該建地の最大使用荷重を超えない場合は、2本組の必要はありません。
・建地間の積載荷重は、400kgを限度とします
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単管足場の各名称と役割
足場を安全に組み立てるためには、まずその構造を理解することが重要です。ここからは、単管足場を構成する部品とその役割について解説します。
名称 | 役割 |
建地 | ・足場などの仮設構造物に使用される地面と垂直に立てられた支柱・足場全体の安定に貢献 |
腕木 | ・内側・外側の2本の建地間をつなぎ、作業板を設置するための横材 |
布 | ・水平材や水平補強材・足場の水平方向の固定に使用 |
筋かい | ・足場の構造を補強し、変形を防止するために、縦地と縦地の間に斜めに入れる部材 |
根がらみ | ・足場の支柱(建地)を固定し、足場の強度を高める水平部材 |
敷板 | ・地面に敷いて、足場の滑りや沈下を防止する板 |
作業床 | ・作業するための床・高所での作業時に落下を防止するために設置 |
中さん | ・作業床と手すりの間に取り付ける水平部材・しゃがんだ時の安全を確保 |
手すり | ・作業時や移動時の安全を確保するための手すり |
幅木 | ・足場の床の外側に取り付ける板材・作業員の墜落や工具の落下を防止 |
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建地(たてじ)
建地は、足場や他の仮設構造物に使用される地面と垂直に立てられた支柱のことです。
建地が歪んでしまうと、足場全体に悪影響を及ぼす可能性がありますので、非常に重要な役割を果たしています。事故を予防するためにも、建地を垂直に立てることが重要です。
腕木(うでぎ)
腕木は、支柱となる内側・外側の2本の建地間をつなぎ、固定する横材を指します。
足場で使用される重要な部材の一つで、歩み板や布丸太などの作業板を設置するために必要です。水平を意味する言葉から、建築業界では「転がし」や「転ばし」と呼ばれることもあります。
布
布という言葉は、通常は衣類やクロスなどを指しますが、足場における「布」は、水平材や水平補強材をいいます。
水平材は建地と建地を水平方向に固定するための部材です。
例えば「地上第1の布」というのは、足場の最初の段階で使用される水平材を指し、地上から高さ2m以下に設置されるよう定められています。
筋かい(すじかい)
筋かいは、足場の構造を補強するために重要な部材です。
縦地と縦地の間に斜めに取り付けられ、足場の強度を向上させます。足場は接合部の強度が不足していると、水平方向から受ける力によって、平行四辺形の形に変形することがあります。
筋かいを対角線上に配置することで、三角形の構造を作り出し、変形を防止できます。
根がらみ(ねがらみ)
根がらみとは、足場の支柱(建地)がズレないように、足場の根元をしっかり固定して強度を高めるための水平部材です。
足場を安定させる上で欠かせない重要な部品です。
関連記事:足場用語の根がらみとは?足場工事における必要性や設置方法・施工基準を解説
敷板(しきいた)
敷板とは、足場が地面で滑ったり沈下したりすることを防止するために使用される板のことです。
一般的に、長さは3〜4m程度、幅は30cm程度です。敷角や敷盤といった似たような言葉もありますが、敷板は地面に直接敷く板をいいます。
作業床(さぎょうゆか)
作業床とは、文字通り作業を行うための床のことです。
厚生労働省は、高さが2m以上の場所での作業時に落下などの危険を防止するため、設置を義務付けています。建築業界では、作業板の他にも「踏床」や「足場板」とも呼ばれることがあります。
中さん(なかさん)
中さんは、作業床と手すりの間に取り付けられる水平な部材です。
平成27年から建設現場では、高所からの落下や転落などを防ぐために、中さんの設置が義務付けられました。
中さんは、作業員がしゃがんだときに足場からの落下を防止する役割があります。
しゃがんでの作業も中さんがあれば安心して行うことができます。ちなみに、中さんの「さん」は敬称ではなく、「桟」という意味で、漢字で表記すると「中桟」になります。
手すり
手すりとは、作業床を移動する際や作業中に、安全のために掴むことができるように設置された手すりのことです。
特に高所での作業では、手すりに安全帯をかけたりします。
幅木(はばき)
幅木は、足場の床の外側に取り付けられる板を指します。
平成27年から、作業員の墜落や工具の落下を防止するために、幅木の設置が義務付けられました。別名で「巾木」や「つま先板」とも呼ばれることがあります。
単管足場に用いる部材
単管足場の構造に続きまして、ここからは、実際に組み立てていくときに使用する主な部材について、解説いたします。
足場を組み立てる際には、様々な部材が使用され安全性や構造の強度を確保するために重要な役割を担っています。
部材名 | 説明 |
単管パイプ | ・足場材として使用する直径48.6mmのパイプ状の鋼管 |
固定ベース | ・地上に設置し、建地の単管パイプをしっかりと固定して、足場の強度を高めるための資材 |
クランプ | ・足場で使用する資材を挟んでつなぐ工具 |
単管ブラケット | ・足場の部材をつなぐための部材・水平材や斜材、垂直材などを取り付けて、足場材を支える役割 |
足場板 | ・高所での作業時に、作業床として使用される板 |
ジョイント | ・単管パイプ同士をつなげる資材 |
単管パイプ
単管パイプは、足場に使用される直径48.6mmの鋼管で、その形状がパイプに似ていることからこの名前がつきました。一般的には「単管」や「パイプ」と呼ばれます。
固定ベース
固定ベースは、地上に設置して建地の単管パイプをしっかりと固定し、足場の強度を向上させるための資材です。
クランプ
クランプは、足場で使用する資材を挟んでつなぐ工具のことです。英語で「締める」を意味します。
主に、直交クランプと自在クランプの2種類が使われ、使い分けは強度や重荷によって行われます。
単管ブラケット
単管ブラケットは、足場の部材をつなぎ合わせるための重要な部品です。水平材や斜材・垂直材などを取り付け、足場を構成する際に役立ちます。
一般的には、2つの取り付け金具で構成されており、形状によって固定型や伸縮型・張り出し型に分類されます。
ブラケットは柱に固定され、足場の部材をしっかりと支えるように設計されています。作業員の安全を確保する重要な役割になります。
足場板
足場板は、工事現場での作業床として使用される板のことです。
主に高所での作業に使われ、作業員の体重を支えるために高い強度が必要です。足場板の材質としては、スチールやアルミニウム・合板・杉などが一般的に使われます。
関連記事:プラワンロック(足場板固定金具)の特徴と足場板の固定方法と固定商品について解説
ジョイント
ジョイントは、単管パイプ同士をつなぐための資材で、パイプを追加する際に使用されます。
直線ジョイントやマルチジョイント・ドブメッキジョイント・手すり用ジョイントなど、様々な種類があり、役割に応じて使い分けられます。
関連記事:足場で使用するウインチとは?ホイストとの違いや種類・活用シーンを解説
単管足場の組み方
ここまで、単管足場の概要について説明してきました。ここからは、具体的な単管足場の組み立て手順を解説いたします。
1.敷板を設置する
足場が地面で滑ったり沈下したりするのを防ぐために、地面に敷板や敷角を設置します。その上に固定ベースを設置します。
2.支柱を組み立てる
敷板や敷角の上の単管ベースを基準に、縦方向の単管パイプを支柱として組み立てていきます。支柱同士を連結させる際には、根がらみを使用します。
3.枠の組み上げを行う
単管パイプ同士をジョイント金具であるクランプでつなぎ、枠を組み立てます。
特に注意すべきポイントは、クランプの「締め付けトルク」です。標準値を意識して均一に締めることで、枠組みの安定性が保たれます。
枠組みが完成したら、足場板を枠の上に渡して、単管に固定していきます。
4.壁繋ぎで固定する
建物の外壁に沿って足場を組む場合、壁繋ぎを使用して単管を固定します。倒壊を防ぐために、筋かいを枠外へ斜めに固定するように設置し、補強していきます。
まとめ
本記事では、単管足場について概要や組み立て手順などを解説いたしました。
単管足場は狭いスペースや低層の外壁など、枠組足場を設置できない場所でも利用可能です。
工事現場で柔軟に対応できるうえに、必要な資材もホームセンターなどで手軽に入手できます。このような単管足場の特徴について、理解を深めていただけましたら幸いです。